脳性麻痺に対するボツリヌス治療

脳性麻痺に対するボツリヌス治療について説明しましょう。
脳性麻痺とは、出生前後の脳障害に伴う「運動と姿勢の異常」と定義されています。そのようなこととはいえ、脳性麻痺としての症状が全身におよぶ人もあれば、下肢(足)だけに症状が見られる人もあります。
また合併症としての知的発達の遅れ、てんかん、呼吸や食事の障害などの有無により、おのおの個々に症状は大きく異なります。
このうち、強い筋緊張を示すケースの治療は、内服薬の投与や、リハビリが主体です。また、変形のみられるケースには、整形外科での手術も実施されます。
最近、海外を中心にして、新しい治療法がいくつか導入されてきていますが、日本国内では、まだまだ治療可能な病院が限定されています。
また、保険診療の対象になっていなかったり、制約が多くあります。
このなかのひとつにボトックス治療があるのです。

ボツリヌス毒素は、神経から筋肉への収縮作用の指令の伝達を阻害する作用があります。
これが、ボトックス治療による、ボトックス注射を実施することで筋肉の緊張を弛める効果が得られます。
頚(くび)から背中にかけての異常な姿勢に対し、ボツリヌス毒素製剤を使用することが、日本でも5年ほど前に承認されました。

ボトックス治療による効果が期待できる症状にアテトーゼがあり、自分で頚の不随意な運動をコントロールできない方、また頚から背中の緊張のために、体を強く反らせてしまう方などがあります。
実際に注射を行った患者さんやそのご家族によると、「自分で顔や体の向きをコントロール可能になった」「肩や頚の痛みや凝りが楽になった」「反り返りもなくなって、寝ている姿勢が良くなった」「座る姿勢が安定し、食事介助がしやすくなった」「抱きやすくなった」などのボツリヌス毒素の効果をよく耳にします。
一般的には、ボトックス治療による効果が持続するのは、注射後3〜4ヵ月間です。

«ボトックスと筋肉の動き | トップへ戻る |  ボトックスの効果の持続について»